location: ホームインプラントインプラントの不安・トラブル>インプラント周囲炎の治療

インプラント周囲炎の治療

インプラント周囲炎とは

インプラント周囲炎は、最も多いインプラント治療のトラブルで、インプラント完成後に、支えである骨が溶けていく現象です。歯の周りの骨が溶けていく歯周病に似ていますが、インプラント周囲炎のほうが進行・悪化しやすいのが特徴です。

また、歯周病は歯がぐらついてくるので、患者様ご自身で気付きやすいですが、インプラント周囲炎では重度の状態まで悪化しても、多くのケースでは症状が出ませんので、なかなか気付けないことが多くなります。

インプラント周囲炎レントゲン写真
インプラント周囲の骨がかなり溶けています
(この段階でもぐらつきはありません)

インプラント周囲炎の原因

・手術に関連するもの

不適切なサイズのインプラント体・ドリル時の過熱・過力・インプラント埋入位置不良・骨不足・歯肉不足(血流不足)

・手術後のもの

早すぎる加重・強すぎる加重・舌などで触りすぎる・ブラッシングの強圧

・かぶせもの完成後

かみ合わせ不良(調節不足含む)・磨き残し・はぎしり・くいしばり・歯周疾患・事故

インプラント周囲炎の治療

・歯ブラシ指導・クリーニング

インプラント周囲をきれいに保つことは、インプラント周囲炎の治療・予防としては最重要な事項となります。

・かみ合わせの調節

インプラントにかかる力をコントロールすることは、清潔に保つことと同程度に重要です。力がかかりすぎると、すぐにインプラント周囲炎になってしまいます。

・清掃+洗浄+消毒+貼薬

レーザーやインプラント表面の研磨器具によりインプラント表面を物理的に清掃後、薬剤で洗浄、すみやかに消毒薬・抗生物質軟膏を塗布する方法。軽度のインプラント周囲炎に適用する方法です。

・CTG(結合組織移植術)

インプラント周囲炎では、血管を含んでいる周囲歯肉が薄く、インプラント周囲の血流不足が起きていること多くなります。その場合、栄養不足・免疫不足により、骨の吸収が起こりやすくなるので、インプラント周囲炎になりやすくなってしまいます。

CTGは、口蓋(上顎の天井)から歯肉をインプラント周囲歯肉に移植することで、歯肉を厚くし、血流を十分に保つために行います。軽度~中等度のインプラント周囲炎に行う方法です。

・インプラントの撤去

重度のインプラント周囲炎になってしまった場合は、撤去が一番良い方法と言えます。以前はインプラントの周りの骨を全部削って、骨ごと撤去していましたが、現在はインプラントを逆回転させて、骨を削らずに保存しながら、撤去することが可能です。撤去後は場合によっては再度インプラントも問題なくできることも多くあります。

そもそも、インプラント周囲炎にならないようにするには・・・

・正しい診断が最重要

インプラント治療を行うときの基本的な考え方として、例えば『インプラント周囲の歯肉や骨を厚くする』『可能な限り、長めのインプラントを使用する』というものなどがあります。

そういう治療のゴールをイメージして診断すると、インプラント予定部の骨の状態(高さ・幅・厚さ・硬さ)はもちろんですが、歯肉の厚さ、周囲の歯周病の状態、周囲の歯の状態、かみ合わせの様式・強さ、インプラントのサイズ・長さの選択、インプラントの埋め込む位置・方向、その他諸々のことを診断する必要性がでてきます。

・治療を急ぎすぎないこと

最近の日本の歯科界において、インプラント治療は、『早い』がとても良いことのような風潮があります。そのため、HAインプラントというスピードを重視したインプラントが良く出回っています。

これで結果が伴えばもちろんいいのですが、残念ながら、インプラント周囲炎が多発しているのが現状です。チタンインプラントメーカーも含め、各インプラントメーカーは、より治療が早くできる、より安くできる、ように研究・開発をしています。

それは日々の診療に大きく貢献してくれるものですが、診療する側が過剰に『早く』急ぎすぎてしまうと、『必要な処置を行わない』『必要な材料を使わない』『必要な時間を置かない』といったことになってきます。これは大変危険な考え方だといわざるを得ないでしょう。

・正しいメインテナンスを行うこと

インプラントは、天然歯と違って、『歯根膜』がありません。これがインプラントの最大の弱点で、天然歯が歯周病になるのよりも、インプラントインプラント周囲炎になる、ことが多い最大の理由です。

歯根膜』は歯肉や骨に、栄養や免疫力を与えます。また咬む力を支えるクッションの役割もします。インプラントではこの役割がなく、天然歯に比べてどうしても『感染に弱い』『過剰な力に弱い』ということになります。このデメリットをカバーしていくため、定期的なクリーニングとかみ合わせのチェック・調節は欠かせません。

※参考記事  歯根膜について